「詰め込みすぎ・丸飲みを防ぐ!保育士が教える子どもの食べ方の習慣づけ」

保育士の仕事は、よく「命を預かる仕事」と言われます。日々楽しいこともたくさんありますが、その一方で、常に命を預かっている緊張感も忘れてはいけないと思っています。

日々、特に注意をするのは、「食事」「睡眠」「水まわり」。この3つは子どもの命と深く関わる場面だからです。

今回はその中の「食事の場面」に焦点をあて、保育の現場で意識している食べ方の教え方や、家庭でも取り入れてほしいポイントについてお話しします。

「食べること」は、子どもにとって“生きる力”そのもの。将来にわたって役立つ力を、赤ちゃん期から少しずつ育んでいけるよう、いっしょに考えていきましょう。

なぜ”食べ方”を教えることが大切なの?

食事の時間は、ただ栄養をとるだけの時間ではありません。子どもたちにとっては、「食べ方」を学ぶ大切な機会であり、友だちや先生と他愛ない会話を楽しむ、心がふれあう時間でもあります。

口に入れる量を自分で調整する、よく噛んでから飲み込む、タイミングを自分で判断する――。こうした力は、言葉の発達や口まわりの筋肉、姿勢の安定などにもつながっています。

少しずつ食べ方を身につけていくことで、「自分で食べる」「安全に食べる」といった生きる力の土台が育っていきます。

噛む力は「言葉・姿勢」にも影響する基礎力

「しっかり噛む」という動作は、ただ食べ物を細かくするためだけのものではありません。

噛む力は、ことばの発達や、全身の姿勢の安定にも大きく関わっています。

たとえば、噛むことで口のまわりの筋肉が育ち、発音がはっきりしてきたり、豊かな表情が生まれたりします。逆に、あまり噛まずに丸飲みすることが習慣になると、口の筋肉が育たず、ことばが不明瞭になったり、口がよくポカーンとあいていて、ずっと緩んだ印象になったりすることもあります。

また、よく噛むことは、背筋を伸ばして座る姿勢を保つ力とも関係しています。噛む力と姿勢保持に必要な筋力はつながっていて、食べる姿勢が崩れやすい子は、噛む力が弱い場合もあるのです。

そのため、保育の現場では「噛むこと」も食育の一環としてとらえ、日々意識的に声掛けするなどの関わりをしています。

子どもにありがちな「食べ方の困りごと」

食事中、子どもによく見られる気になる行動――それは単なる癖ではなく、今のうちに少しずつ整えていきたい「食べ方の基礎」かもしれません。保育の現場でもよくある代表的な困りごとを紹介します。

口いっぱいに詰め込む

ごはんやおかずを、次から次へとお口の中に…ほっぺがリスのように膨らんでいるのに、まだ次を食べようとする姿。よくある姿ですが、放っておくと誤嚥や窒息の危険もあります。

子どもはまだ「口に運ぶ一回の適量」を知らないことも多いので、お口に一度入れて次々運ぶ様子がある時は「お口の(ごはん)なくなってから次のだよ」と、今どんな状態かを一緒に確認してあげる声かけが効果的です。

丸飲みしてしまう

ほとんど噛まずに、口に入れたものをそのまま飲み込む癖も、実はよく見られます。適度な硬さのある、かみごたえのあるものを食べた経験が少ない子に多いです。繰り返しているとちょっと硬いものを食べたと時につまらせたり、噛み切れず出してしまうということに繋がりかねません。

「よく噛んでね」と言うだけでは伝わりづらいので、子どもが食べる姿をよく観察し、噛む回数が少なく、咀嚼できてなさそうな時は「オエッってなっちゃうからしっかり噛もうね?」と都度声を掛けています。

無理なく続けられる!家庭でできる“食べ方”の育て方

食べ方の習慣づけは、家庭でのちょっとした声かけや関わり方を親御さんが意識することで、ぐんと育まれていきます。難しく考えすぎず、日々の食卓の中でできることから取り入れていくことが、結果として子ども自身の「食べる力」を育て、保護者の負担も軽くしてくれます。

食事の雰囲気づくりがカギ

「早く食べなさい!」「なんで噛まないの?」など注意ばかりの食卓は、子どもと親、双方にとって苦痛の時間になってしまいます。
まずは安心して食事できる空気づくりを心がけましょう。

食べることをポジティブにとらえることができれば、「噛む」「適量を口に運ぶ」「よく味わう」といった習慣も、自然と身につきやすくなります。
完璧を目指さず、「今日はお口いっぱいに入れなかったね!」など、できたことを一緒に喜ぶ関わりを大切にしてください。

子どもが「見て学ぶ」家庭の力

子どもは、大人の行動をよく見ています。家族が一緒に食卓を囲み、適量を口に運んで、しっかり噛んで食べる姿を見せることが、いちばんの教科書です。

また、「これはちょっとかたいね」「よく噛むと甘くなるね」など、かむ感覚を言葉にして伝えることもおすすめです。

ハンバーグやバナナ、パンなど柔らかい食材ばかりでなく、ときには硬めのよく噛んだり、かじり取り動作が必要なメニューを取り入れるのも、よい経験になります。

手づかみ食べは“汚れてもOK”の大事なステップ

大人が食べさせてあげた方が早かったり、食後の片づけが面倒だったりして、つい避けてしまいがちな「手づかみ食べ」。
でも実はこれ、食べる力を育てるうえでとても大切なプロセスなんです。

食材の大きさや感触、においや温度などを自分の手で感じ、口に運ぶことで、“食べる”という行為の全体像を身体で覚えていくことができます。

「ぐちゃぐちゃになりそう…」と思うかもしれませんが、食事のあとに片づける時間を少し多めに見ておいたり、レジャーシートや袖付きエプロンを活用する、比較的余裕のある夜や休日だけにする等、汚れても大丈夫な工夫をすれば大人の負担も軽くなります

この時期をしっかり経験しておくと、スプーンやフォークへの移行もスムーズになりますよ。

”焦らず続ける”ことがいちばんの近道

食べ方の習慣は、一朝一夕で身につくものではありません。とくに幼児期は発達のスピードにも個人差があるため、「まだできていない」ことに焦らず、少しずつ整えていこうと親御さんが意識する視点が大切です。

「口の中に詰めすぎず、空っぽになってから次を入れること」
「しっかり噛むこと」
この2点だけでも、毎日確認してあげることでずいぶん変わります。

こうした習慣が幼いうちに身につくと、小学校以降での食事のトラブル(早食い・丸飲み・誤嚥・窒息など)を防ぐ助けになります。
結果的に、保護者にとっても**“あとあとラク”になる育て方**でもあるのです。

食べる力は一生の財産

子どもの「食べ方」を育てることは、単にマナーやしつけだけの話ではありません。
自分のペースで噛む・飲み込む・適量を口に運ぶという動作を身につけることは、安全に食べるための力であり、将来の健康にもつながる大切な土台です。

保育の現場でも日々コツコツと積み重ねていますが、家庭での関わりが大きな支えになることも確かです。とはいえ、無理をする必要はありません。
おうちでも“今日はひと口ずつ様子を見てみようかな”“噛んでるかな?”といったちょっとした意識の変化から始めてみるだけで十分です。

子どもたちの「食べる力」は、未来の健康を支える一生の財産になります。
焦らず、少しずつ、その子なりのペースで育てていきましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

この記事の感想はもちろん、

・子どものことで悩んでいる

・我が子の担任の先生には聞きづらいけど、匿名なら聞きたいこと

などありましたら、コメントやお問い合わせメッセージを遠慮なくお寄せ下さい♪

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