保育園生活に子どもたちが慣れてきた4月後半、少し落ち着いてきた頃から起こるかみつき問題。
・家ではかんだことないのに……
・かまれたってどういうこと?
・どう対応すれば良いの?
このように、実際にトラブルが起こると戸惑う保護者も少なくありません。
この記事では、経験10年超の保育士が親の対応、最適解をお届けします。
我が子がお友だちをかんでしまった場合、保護者としてどうすべきかについて解説します。

「保育園で友だちをかんだ」と聞くと、我が子を責めたくなってしまうこともあるでしょう。
「どうして、お友だちのことかんだの?お友だち痛い痛いになっちゃたよ!」「〇〇(我が子)がかまれたらどう思う?」
このように言いたくなる気持ちは私も人の親であり痛いほどわかります。
ただ家に帰ってから園でのかみつきのことを言っても、親御さんが疲弊するだけで終わってしまいます。
なぜなら、3歳未満の子どもにとって、かんでしまう行動は一瞬の感情によるものだからです。そのため、時間がたってから「どうしてかんだの?」と聞かれても、ほとんど覚えていないのが現実です。
また、保育園ではすでに以下のような対応がなされています。
・かまれてしまった子の歯型を見せる
・「ガブはいけないよ。お友だち痛いからね!」とお話しする
そのため、家庭であらためて注意すると、子どもにとっては“二重で叱られる”ように感じてしまうこともあります。
さらに、3歳未満の子どもは「他人の気持ち」を理解することがまだ難しい時期です。
例えば「自分はお菓子が好きだけど、お菓子が好きじゃない子もいる。」こういうことが理解できるのは、4歳以降と言われています。
「かまれたら、あなたはどう思うか?」という問いは、まだ未満児には難しいのです。
こういった理由から、おうちではあえて、かみつきの話を持ち出す必要はありません。
むしろ、話さないほうが子どもにとっても安心できるのです。

もし我が子がかみついてしまった場合は、ぜひ保育士にシチュエーションや頻度を聞いてみてください。
頻繁だった場合は愛情不足かもしれませんし、単にはずみや相手の子からけしかけてきたのかもしれません。
- 「うちの子、どんな様子だったんでしょうか?」
- 「噛む前に何かトラブルがあったのか知りたいです」
- 「同じようなことがよくあるんですか?今後のために教えてください」
このように聞いてくださると、保育士も答えやすくなり、今後の対応を一緒に考えるヒントにもなるでしょう。
大前提として、保育園でおきたことは、すべてお預かりしている園の責任です。
その前提の上で、もし相手の子がわかるなら、やはり直接謝るのが気持ちのいい対応ですね。お子さん、親御さん両方に”ごめんなさい”ができると、自身もスッキリしますし、子どもにとっても「パパ、ママが謝っている」「かむのはいけないことなんだ」と少しづつ理解できるきっかけになります。
ただ、わざわざ時間を合わせてとか、待っていてまで謝ることはないですよ。それくらい、かみつきは言葉のつたない乳児にとってよくあることなので、たまたま送迎が一緒になる時や、行事で顔を合わせた時で十分です。

友だちから自分の子がかまれる・・・すごく切なく悲しい出来事かと思います。
お迎え時に保育士から、かまれたと聞かされると、
- うちの子が友だちに嫌なことしちゃった?
- 相手は凶暴な子なのかな?かみグセがあるとか?
- かみつくなんてひどい!許せない!どの子がやったんだろう?
色々な想いが湧いてきますよね。
もし我が子がかまれてしまったらどうするべきか?を解説していきます。
我が子がかまれたと聞いたとき、心配になるのは親として当然のこと。でもまずは冷静に、状況を知ることが大切です。
保育園では、かみつきが起きたとき、できる限り状況を把握し、すぐに対応しています。そのため、保育士にかまれた時の状況を聞くことで、我が子の心持ちや園での様子などが伺い知れます。
例
- 先に我が子が押してしまったことで相手の子が怒り、ガブッとした
- 我が子は何もしてないのに、イライラしている子の近くに「たまたまいた」ことでかまれてしまった
この2例ではだいぶ違いますよね?
- どの場面で起こったのか(遊び・食事・移動など)
- 子ども同士のやり取りに何かトラブルがあったのか
- 保育士の介入タイミングやその後の対応
- 同じ子との関わりで繰り返されていないか
上記のことを聞くことで、状況を整理し、なぜかまれてしまったのか原因を知ることができ、今後の対策だけでなく、安心感にもつながるので、ぜひ保育士に聞いてみてください。

保護者が保育園で起こるすべてのことを見守ることはできませんが、以下のようなサイクルを続けることで、園との連携を深め、トラブルを減らしたり、予防につなげることができます。
1,保育士に状況を聞く
2,お家で子どもが思いを打ち明けることがあれば、「痛かったね」「びっくりしたね」と気持ちに寄り添う
3,家庭での対応や子どもの声を保育士に共有する
(※3番目の保育士への共有の手段は、連絡ノートよりも口頭の方が気持ちやニュアンスを伝えやすい場合もあります。担任以外に知られたくない場合にも口頭の方が安心です。)
特に、3番のように家族の意見や、子どもの思いを伝えることは大切です。 「昨日言われたこと聞き流してませんよ」「我が家はきちんと対応する家ですよ」という印象を保育士に持ってもらえるからです。すると、かみつきが続かないよう、園全体で考えてもらえたり、かみついたお子さんの保護者にアプローチをしてもらえたりする可能性が高まります。
勇気がいる対応かもしれませんが、穏やかな伝え方であれば、保育園にとってもありがたいお声です。
保護者・かまれた子・かんでしまった子・保育士の信頼関係を築く一歩として、ぜひ試してみてください。
子どもによっては、保育園での出来事を自分の言葉で伝えてくれることがあります。特におしゃべりが上手で、記憶力のあるこどもは、「痛かった」「〇〇くんがかんだ」などと話すことも…。
そういう時はスキンシップを取り「痛かったね」と気持ちを受け止めてあげてください。
反対に、すでに忘れている様子であれば、わざわざ思い出させる必要はありません。無理に聞き出そうとすると、子どもに再びつらい気持ちを思い出させてしまう可能性があります。その場合、家庭ではあえて触れず、いつも通りの安心できる環境を心がけましょう。
かみつきは、保育園で起きたことなので、責任は園側にあります。保護者間のトラブル防止の観点から、かんでしまった子の名前を言わない対応をする園がほとんどです。ただ、子どもが話してくれることで、相手の子の名前がわかることもあります。
場合によっては、かんでしまった子の親が謝ってくることもあるでしょう。その時は、保護者の気持ち次第で返事をすればいいと思います。
特に気にしてないなら「大丈夫ですよ」「お互い様ですから」という感じです。特定の子から続いてる、歯型がくっきりなど余りにも…という状況なら、「ちょっと続いていて我が子も悲しい思いをしている」といったように、様子や、子どもの気持ちを丁寧に伝えてみて下さい。
また、度重なるなどひどい状況なのに、顔を合わせても全く謝罪のない場合は、園に確認してみるのも1つの手です。「度々友だちをかんでいることを、かんだ子の親は知っているのか?」「きちんと相手には現状を話してほしい」といった要望を伝えます。保育士を介して伝えると、直接トラブルになりづらく、園の対応でかみつきが止まる可能性が高まるので、検討してみて下さい。

かみつき問題は、大人の立場からすると驚きの行動ですが、0・1・2歳を生きる子どもたちにとっては言葉の代わりや、思いの表出でもあります。
とはいえ、友だちをかんでしまうことは、親としても辛いですよね。 ”かみつきをなんとかやめさせたい” ”どうしてうちの子は友だちをかんでしまうのか?” そんな親御さんの疑問や想いに、親としてできることを、保育士目線で答えていきたいと思います。
かみつきは主に3歳未満の、言葉のやり取りがまだつたない年齢の子で良く起こります。
子どもは、発達の過程で徐々に言葉を獲得していきますが、未満児さんは、「やめて」「このおもちゃ、今私が使っているよ」こういうことがまだうまく伝えられず、反射的にかんでしまう場合があります。
成長する中で、子どもの感情は徐々に複雑になっていきます。
快・不快だけだったところから、嬉しい、悔しい、悲しい、楽しいと感情の種類が増えていきます。
ただ、その途上にある未満児さんは、芽生えた思いを、ワンクッション置いてから表出することがまだ難しく、「あっ、おもちゃとられた!」→「ガブッ(かみつき)」とすぐに直接的な解決に結びついてしまうことがあります。
そのため、未満児では未熟さゆえのかみつきが多くなるのです。
ひとり遊び、平行遊び(子ども同士すぐ近くで同じおもちゃを使ったり、同じ場所で遊んでいても、直接関わらずに“それぞれで”遊んでいる状態)をしていた子たちが、徐々に友だちに興味を持つようになっていくのもこの未満児の時期です。
ただ、相手への気持ちをうまく言えず、かむという行動で思いを表出してしまうことがあります。
また、下の子が生まれたばかり、お家で親御さんにつらい出来事があった、保育園に長時間通ってる子・・・etc そういう時期に一時的に不安定になり、甘えたい気持ちから、友だちをかんでしまうこともあります。

我が子の友だちへのかみつきが頻発していて、もし原因が愛情不足かな?と感じることがあればこんなことを試してみてほしいです。
- かんでしまう子だけの優先タイムを1日5分でいいので作る
- ハグをする、「大好きだよ」と言葉で伝える
- 一緒にお風呂に入ったり、絵本タイムを作ったり触れ合う時間を意識して持つ
- たまには、かんでしまう子とだけの”親子デート”をして、スペシャルdayを作ってあげる
全部でなくて良いので、できそうなことから真似してみて下さい☻

言葉のやり取りが未熟な未満児の保育園生活では、頻繁に起こりやすい”かみつき”について書いてみました。
- かんだ側の場合は我が子の心の状況に少し目を向けてみる
- かまれた場合で続くようなら家での対応や子の気持ちを、必ず園へ伝え、連絡を密にする
明けない夜はないように、かみつきは成長とともになくなっていきます。それまでは子どもに寄り添いながら乗り越えていきましょう!
そして、かみつきを防ぎたい、子どもに痛くて悲しい思いをさせたくない!それは私たち保育士も一緒の気持ちです。子育てのパートナーとして一緒に協力して、お子さんの園生活が楽しいものになるように、工夫していきたいですね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事の感想はもちろん、
・子どものことで悩んでいる
・我が子の担任の先生には聞きづらいけど、匿名なら聞きたいこと
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