子育てをしていると、つい子どもを「怒ってしまった…」という経験はありませんか?
実は“怒る”と“叱る”はまったく別もの。
感情のまま怒ってしまうと、子どもは本質を理解できず、成長のチャンスを逃してしまうことも。
でも、“怒る”から“叱る”にシフトすることで、子どもが学びやすくなるだけでなく、親自身ももっと楽に子育てができるようになります。
今回は保育士の視点から、子どもの力を伸ばす「叱り方」のポイントをお伝えします。
保育や子育てに関わるすべての方に読んでいただきたい内容です☺
怒ることと叱ること、同じようでいて、実は全然違うものです。
子育て真っ只中のパパさん、ママさんにはぜひ”叱る”にシフトチェンジしてほしいと思います。

子どもに注意したあと、「やりすぎたかな」「怒りすぎたかも」と感じることはありませんか?
もしそう感じたなら、それは“叱る”ではなく、“怒って”いた可能性があります。
怒ることがダメなのではありません。でも、感情に任せた怒りは、子どもに「何がいけなかったか」が伝わりづらく、ただ委縮させたり反発を生んでしまうこともあります。
怒るというのは、多くの場合、親の気持ちが爆発してしまった状態。
たとえば「いいかげんにしてよ!」と声を荒らげたくなる時は、自分の疲れや焦り、不安が原因だったりします。
子どもが悪いというよりも、「親である自分の気持ちが限界を迎えた」ことに対する反応なんですね。
一方、「叱る」というのは、子どもに伝えたいことを冷静に、そして丁寧に伝える行動です。
- なぜそれがいけないのか
- どうすればよかったのか
- 次はどう行動してほしいのか
そういった“学び”につながるように声をかけるのが「叱る」ことの本質です。
怒りにまかせて大きな声を出しても、子どもは「怒られた」という印象しか残りません。
でも、冷静に理由とともに伝えれば、子どもは「次はこうしよう」と考える力を身につけていけます。
怒るのではなく、叱る。
たったそれだけの違いが、子どもとの信頼関係や、保護者自身の日々のストレスの軽減に、大きくつながっていきますよ。
怒ってしまった日、子どもの寝顔に「ごめんね…」そんなシーンとおさらば。
この章では、意識の持ち方を少しだけ変えて、「どんな声掛けが良いか?」「どう子どもを導けばよいか?」のヒントを具体的な場面をあげて解説します。

スーパーで子どもが「お菓子買ってー!」「やだ帰らないー!」と大声で泣き叫び、床に寝転がってしまう…
そんなとき、つい「やめなさい!」「そんな子は置いていくよ!」と、感情的に怒ってしまったことはありませんか?
このような声かけに共通するのは、「親自身の感情」が言葉の中心になっているという点です。
“恥ずかしい”“周りの目が気になる”“早くこの場を収めたい”という気持ちから出た言葉は、残念ながら子どもの学びにはつながりにくく、伝えたいことも届きにくくなってしまいます。
一方で、「ここはお店の床だから、寝転ぶのはやめようね」
「どうしてお菓子がほしいのか、ちゃんと教えて」
といった事実と理由をセットにした声かけであれば、子どもも理解しやすく、冷静に行動を切り替えられる可能性が高くなります。
怒りそうになったときこそ深呼吸を。
「この場面で子どもに伝えるべき“本当の目的”は何か?」を一度立ち止まって考えてみてください。
感情ではなく伝えるべきことにフォーカスするだけで、子どもへの届き方がまったく変わってきますよ。

つい口にしてしまいがちな「〇〇しないと××できないよ」「片付けないとおやつなしね」
これ、一見“しつけ”のように思えますが、実は子どもにプレッシャーをかけるだけで、学びにはつながりにくい言い方なのです。
このような言い方を繰り返していると、子どもは「怒られたくないから」「罰があるから」行動するようになり、本当の意味で“なぜやるのか”を考える機会を失ってしまいます。
本来伝えたいのは、「お片付けをしてほしい」「時間通りに行動してほしい」など、子どもの行動そのものですよね。
だからこそ、「片付け終わったらおやつにしようね」
「時間になったから出発しようね」
というように、交換条件でなく、希望する行動や見通しをシンプルに伝える声かけに変えてみましょう。
言葉ひとつで、子どもの気持ちの動きも行動も、ぐっとスムーズになります☺︎
怒りそうになった瞬間、まずは「ひと呼吸」してみてください。
イライラが爆発しそうなとき、人はつい反射的に強い言葉を投げてしまいがちです。でも、その一瞬の感情で放った言葉が、あとから「言いすぎた…」という後悔につながることも。
そんなときに効果的なのが、「怒る前に深呼吸する」という小さなテクニック。
やり方は簡単。
怒りの感情が湧き上がったら、すぐに言葉に出す前に6秒だけ深呼吸をしてみましょう。
・鼻から大きく吸って…
・口からゆっくり吐き出す…
たったこれだけですが、気持ちが落ち着き、冷静さを取り戻すことができます。心理学の話ですが、この6秒で”怒りの頂点”は過ぎ去ると言われています。
最初は難しくても、習慣にすると本当に効果を感じられるようになります。
「怒る前に深呼吸」、ぜひ今日から意識してみてください。

「叱る」とは、感情をぶつけることではなく、子どもに“伝える”こと。
子どもが自分の行動を振り返り、「次はどうすればいいか」を学べるような声かけが、本当の“叱る”という行為です。
この章では、「子どもに届く」叱り方のポイントを、具体的に3つ紹介します。
叱るときに大切なのは、「何がいけないのか」「なぜダメなのか」をセットで伝えることです。
たとえば、「走らない!」ではなく
「ここは車が通る道だから、走ると危ないよ」と説明することで、
子どもは“やってはいけない理由”を理解し、次に生かせるようになります。
大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては初めての経験ばかり。
繰り返し、優しく、理由を伝えていくことで、子どもは少しずつ考えて行動できるようになります。

子どもも、大人と同じで“冷静に伝えられた言葉”のほうが心に響きます。
イライラが爆発して怒鳴ってしまうと、子どもは「怒られた」ことばかりが記憶に残り、“何がいけなかったか”がぼやけてしまうのです。
反対に、落ち着いた声で目を見て話すと、それだけで子どもは「まずいことをしたんだ」と察します。
例えるなら、怒鳴り散らす上司の言葉は「怖い、嫌だなあ」と感じ、内容が頭に入りません。けど、普段は穏やかな上司が、静かに、でも的確に叱るとドキッとするように、冷静な叱り方は子どもにしっかり届きます。

怒ったあとで、「言いすぎちゃった…」「あんな言い方しなくてもよかったかも」と自己嫌悪になること、ありますよね。
そんなときこそ、「叱る目的って何だったっけ?」と、立ち止まってみてください。
- 子どもが困らないように
- 危険から守るために
- 社会のルールを少しずつ知ってもらうために
“叱る”のは、子どもの成長を助けるため。
その目的を忘れずにいれば、きっと必要以上に怒らず、やさしく・わかりやすく伝えられるようになります。
「怒ってごめんね」と後悔する前に、少しだけ伝え方を意識してみましょう。

「怒る」から「叱る」へ──。
その小さな意識の変化が、子どもの理解と成長につながり、親自身の心もラクにしてくれます。
感情ではなく、伝えたいことを“丁寧に届ける”。
それだけで、親子のやりとりはもっと穏やかに、前向きなものになっていきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事の感想はもちろん、
・子どものことで悩んでいる
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