「家庭訪問」と聞くと、ちょっと身構えてしまう保護者の方も多いかもしれません。
「掃除どのくらいしよう?」「お茶やお菓子を出したほうがいいかな?」など、迷うポイントがいくつかありますよね。
今回は、現役保育士の立場から、家庭訪問の本音と、保護者側の準備についてのヒントをお伝えします。
家庭訪問を“形式的な場”で終わらせず、ぜひお子さんの園生活に活かせる“実りある時間”にしていきましょう!
正直なところ、先生が入る部屋(=リビング、最近は玄関先など)だけで大丈夫です!
家庭訪問中、お子さんが「おもちゃで遊ぶー!」と別の部屋に行こうとしたときに、お母さんが「その部屋は開けないで〜!💦」と慌てる場面をよく見ます。
リビング以外の部屋は普段通りで構いませんし、荷物を移動したり、見えるところを軽く片付けたりしておけば十分です。
※ただし、下着が干してあるお部屋などは、できれば別室に移しておいていただけると助かります!

結論から言うと、何もなくてもまったく問題ありません。もしご用意いただける場合は、飲み物だけで十分です。
なかにはケーキやお菓子を出してくださるご家庭もあり、とてもありがたい気持ちなのですが、家庭訪問は1軒あたり約15分程度の限られた時間での訪問になります。
そのため、お茶菓子をいただいている間に時間が押してしまい、次のお宅にご迷惑をおかけするケースもあるのが正直なところです。
特にごきょうだいで通っているご家庭では、先生が連続で訪問していることも多く、時間をとても気にして動いています。
どうしても何かを渡したいという場合は、「帰りにどうぞ」と紙袋などに入れてお渡しくださると、とても助かります。
また、「〇〇(お子さん)と一緒に作ったんです♪」とケーキ等を出していただくこともあり、気持ちは本当に嬉しいのですが、その場でいただく時間が取りにくく、申し訳ない気持ちになってしまうこともあります。
飲み物については、
・お茶やコーヒーでOKです
・砂糖やミルクは添えるくらいで◎
・可能であればお湯をあらかじめ沸かしておいていただけると嬉しいです
「何がよろしいですか?」と聞いていただくお心遣いもありがたいのですが、できるだけスムーズにお話に入らせていただけると時間を有効に使えます。
過去には、サイフォンで丁寧にコーヒーを淹れてくださったご家庭もあり、本当にありがたい反面、内心とても焦ってしまった…という経験もありました。
お心遣いだけで十分嬉しいので、どうぞお気軽に迎えていただけたらと思います。

家庭訪問の時間は、限られていてあっという間に過ぎてしまいます。
そのため、「この機会に先生に聞いてみたいこと」「話しておきたいこと」があれば、ざっくりでいいので事前に考えておいていただけると、お互い良い時間をすごせると思います。
たとえば、
- 家ではこんな様子だけど、園ではどうですか?
- ごはんやトイレ、生活面で気になることがある…
- お友だちとの関わり、園での様子を知りたい
など、どんな小さなことでも構いません。
特に、ご家庭での様子を教えていただけることは、こちらの保育にも生かせるため、大変ありがたい話題です。園では見えない一面を知ることができると、よりその子らしい関わり方や援助がしやすくなります。
もちろん、特に何もなければ雑談で終わってもOKですが、「気になっていたのに時間切れで聞けなかった…」とならないように、ひとつふたつテーマを決めておいていただけると、家庭訪問の時間をより実りあるものにできると思います。
保護者の皆さんは、仕事に、家事に、育児に忙しい毎日。
「きちんとやらなきゃ」と思いすぎなくて大丈夫!
ここまで書いてきたことを、ほんの少し意識して準備してみて下さい。
保育士にとっても、家庭訪問は「普段のご家庭の様子を知って、お子さんの理解を深める」ための大事な時間です。
だからこそ、肩の力を抜いて、「先生に普段の様子を見てもらおう」くらいの感覚で、リラックスして準備してみてくださいね。

家庭訪問の進行は、基本的に保育士が段取りをしながらリードしていきます。
タイムキーパーも保育士が担っているため、保護者の方は聞かれたことに答えたり、あらかじめ伝えておきたい話をその流れの中でお話ししていただければ大丈夫です。
ただ、よくあるのが訪問の終了間際に話題を切り出されるケース。たとえば先生が「では、そろそろ…」と帰ろうとしたタイミングで質問が始まり、結果的に時間が延びてしまう…ということがあります。
実はこれ、保育士の勤務時間をオーバーさせるだけでなく、次のお宅に大幅に遅れてしまう原因になることもあるのです。
ある年は、そんなお家が3軒続き、最終訪問先には1時間以上も遅れて到着することになってしまい、何度もお詫びする事態になりました。
もちろん、遅れる場合は可能な限り事前にお電話を入れますが、実際にはAさんのお宅にいる最中にBさんに電話をかけることはできません。いったん車に戻って、駐車場所を探して、そこから電話をかけるという流れになるため、どうしてもロスが出てしまいます。
家庭訪問の日程は、園で事前に場所の下見をした上で、
「Aちゃんのお宅からBくんの家までは5分くらいかな」
「Cちゃんの家は少し遠いから、間に余裕を持たせよう」
といった具合に、移動時間まで計算しながら慎重にスケジューリングされています。
限られた時間の中で、できるだけ内容の濃いお話ができるよう、どうか終了予定時間を意識してご協力いただけたら嬉しいです。
ちなみに、どうしても都合がつかない場合は、事前に訪問日の変更をお願いすることも可能です。空き枠が設けてありますので、遠慮なくご相談くださいね。

家庭訪問の際、保育士は事前にお家の場所を確認し、できるだけ迷わずたどり着けるようにしています。ただ、住宅地が入り組んでいたり、似たような建物が並んでいたりすると、どうしても「ここで合ってるかな?」と不安になることもあります。
そんなとき、保護者の方から
「〇〇スーパーの3軒隣です」
「白い車の横に停めてください」
など、ちょっとした目印や駐車場所を教えていただけると、とても安心して伺うことができます。
もちろん、こちらからもお聞きするようにしていますが、もし「うちはちょっと分かりづらいかも…」と思われたら、気軽に教えてもらえると助かります。

家庭訪問では本当にさまざまなお宅を訪問します。多くのご家庭があたたかく迎えてくださるのですが、中には「これはちょっと…」と困ってしまうようなケースも。
ここでは、これまでにあった“番外編”とも言える家庭訪問のエピソードをいくつかご紹介します。
※決して「完璧にしてほしい」ということではありません!保育士としての本音をちょっぴりお伝えするつもりで、読んでいただけたら嬉しいです。
リビングに通していただいたものの、カーペットには正体不明、多数のシミ。「好きなところにどうぞ」と言っていただいたのですが、スーツで訪問しているため、汚れが気になってしまいました。
さらに「子どもたちと作ったからぜひ食べて」と、再利用したプリンカップで手作りプリンが出てきて…。気持ちはありがたかったのですが、衛生面がどうしても気になり、心を無にしていただきました。
もちろん、ピカピカに磨き上げてほしいというわけではありません。最低限、人をお迎えできる状態にしていただけるとありがたいです。

あるご家庭では、玄関から入れず「お庭の窓からどうぞ」と案内されたこともありました。「玄関がすごいことになっていて出入り不可…」とのこと
もちろん、お忙しい中で片付けるのが難しいこともあるとは思いますが、できれば玄関から入れるようにしていただけると助かります。
家庭訪問では、保育園でのお子さんの様子をお伝えするのがメインです。
ですので、保育士本人のプライベート(住所・年齢・結婚してるかなど)を根掘り葉掘り聞かれると、正直なところ少し戸惑ってしまいます。
また、過去の担任についてのネガティブな話(「去年の〇〇先生は正直ちょっと…」など)も、できれば控えていただけるとありがたいです。
お子さんのための前向きなお話の時間にしていただけたらと思います。
保育士としては「きれいにして」「何か用意して」とお願いしたいわけではありません。
・人を迎える基本的な準備
・過度な飲食の提供を控える・話したいことをざっくり考えておく
・保育士のプライバシーを尊重する
このようなちょっとした配慮をしていただけると、家庭訪問がよりスムーズに、気持ちよく進められます。
これから、大切なお子さんを預かり、一緒に育てていく”パートナー”として、保護者の皆さんとお子さんのことをたくさん話せる、実りある時間にできるよう、ご協力をいただけたら嬉しいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事の感想はもちろん、
・子どものことで悩んでいる
・我が子の担任の先生には聞きづらいけど、匿名なら聞きたいこと
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