子どもに「どうして?」と聞かれたとき、どう答えていますか?
保育士として子どもと関わる中で、私はこの問いへの返し方を大切にしています。
この記事では、子どもの思考力を育てるための声かけの工夫をお伝えします。
子育て中の方や保育に関わる方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
子どもからの「ねえ、どうして〇〇なの?」という問いかけ…
・すぐに答えを教えてあげる。
・「うーん、ママもわからないな〜」と答えに詰まる。
・「パパに聞いてみたら?」別の人に振ってしまう…。
きっといろいろな対応があると思います。私も以前はそうでした。
でもある時、私の考え方をガラッと変えてくれたお子さんとの出会いがあったのです。
勤務先で使わなくなった事務用の電話を、安全に処理して、子どもたちにおもちゃとして渡した時のこと。

「ねえねえ、電話の中ってどうなってるんだろう?A、調べたいんだよね」
こう言って、電話機に夢中なAくん。
「わ〜どうなるかな…」と少しハラハラしつつも、私はこの子の集中力と探究心に圧倒されました。
結局、ご飯もそこそこに、1日中電話機をいじっていました。
私は、その日、保護者の方に思わず聞いてしまいました。
「Aくんの“なんで?”に、どう答えてるんですか?あれほど夢中になれるのって、すごいですよね!どんな風に家では遊ばせているんですか?」
と、その日の出来事とともに、話を聞きました。
するとお母さんは、笑いながらこう教えてくれました。
「危なくないかだけは注意するけど、あとは結構自由にやらせちゃう。うち、子ども多いし(子ども4人の家庭)そんなじっくり見てる余裕ないよ〜。(笑) 「なんで」に対しては、嘘を言うのが嫌で調べるか、“〇〇はどう思う?”って言うかな。そしたら、けっこう自分で考えてるかも。」
このとき、このお母さんの言葉から得た1番のヒントがこの”〇〇ちゃんはどう思う?”という魔法の言葉だったのです。

自分のことを思い返しても、「やりなさい」と言われながら渋々取り組んだ宿題は、なかなか身が入らなかった記憶があります。きっと多くの方もそうではないでしょうか?
でも、「好き」「知りたい!」という気持ちがある時は、自然と前のめりで学びに向かえたはずです。
子どもたちも同じで、自ら興味を持ったことには驚くほどの集中力を発揮します。子どもにとって中心にある“遊び”こそが、立派な学びの原点なのです。
図鑑が大好きなBくんは、毎日いろんな種類の図鑑を取り出しては、「どうして?」「なんで?」と保育者に尋ねてきます。動物、鉱石、宇宙、虫など、ジャンルも多岐にわたります。
ある日、赤いクラゲの写真を見つけた私は、ちょっと問いかけてみました。
「どうしてこのクラゲは赤いのかな?白いクラゲが多いのに、不思議だよね〜」
するとBくんは、

「トマトを食べたのかな?」
「いちごかもしれない!」
「まさか血とか?」
と、目を輝かせて自分なりの答えを次々に出してきました。
さらに次の日には、「また図鑑で色々な生き物を調べてみよう!」「このホタルイカはどうして青いのかなあ?」と、別の疑問へとつなげて遊びを広げていました。
この経験から私は改めて思いました。
答えを与えるよりも、“問いを一緒に楽しむ” ”疑問やヒントを投げかけ、一緒に考える”ことで、子どもの学びはどんどん深まっていくんだなと。

「転ばぬ先の杖」ということわざ、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
親はつい、子どもが転ばないように、失敗しないようにと先回りしてしまいがちです。私自身、保育士である前に母親でもあるので、その気持ちは痛いほどよくわかります。
けれど最近、つくづく思うのです。
本当の学びは、うまくいかなかった経験や、失敗の中にこそ詰まっているのではないか、と。
子どもの「どうして?」という疑問には、すぐに答えを与えるのではなく、一緒に考えてみたり、時には「どうしてだろうね」と返してみることで、子どもの中に芽生える“考える力”が育っていきます。
これからもし、お子さんから「どうして?」と聞かれる場面があったら、「どうしてだろうね、〇〇(我が子)はどう思う?」と問い返してみてください。
その一言が、子どもの“学びのスイッチ”を入れるきっかけになるかもしれません。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事の感想はもちろん、
・子どものことで悩んでいる
・我が子の担任の先生には聞きづらいけど、匿名なら聞きたいこと
などありましたら、コメントやお問い合わせメッセージを遠慮なくお寄せ下さい♪
経験10年超の保育士みらいがお答えさせていただきます❤
