どの子にとっても育つ“環境”は大切です。環境とは具体的に、
- どんな先生と関わるか?
- どんなお友だちがいるか?
- 保育園の静的な環境と動的な環境のバランスは?
- 雰囲気はどうか?
- 子ども自身が馴染めるか?
というような内容です。親にとっては大切な我が子になるべく良い環境を用意したい、特にハンディキャップがあれば尚更そう考える親御さんは多いと思います。だからこそ、手厚く加配保育士をつけてもらい、マンツーマンor1人の加配保育士で2〜3人のお子さんを見る形で我が子に先生がついてくれたら、「安泰だな」と感じる方も多いと思います。しかし、必ずしも良いことばかりではなく、マイナスな方向へ転んでいくケースもあります。

加配保育士とは、集団生活に配慮が必要なお子さんに対して、特別に配置される保育士のことを指します。市町村の制度に基づいて園が申請し、必要性が認められると人員または金銭の補助が割り当てられます。(公立園では人員、私立園では雇い入れるための補助金)
ただし、実際には保育士不足や予算の都合もあり、「つけたくてもつけられない」「一日中は難しい」というケースも多く、園が独自の工夫でカバーしている現状もあります。(一人の先生が掛け持ちしたり、担任だけで加配児のフォローをしたり、日替わりで何人かの先生が対応など)
また、市町村によっては、医師の診断書や発達検査の結果が必要な場合もあるなど、加配が必ずしもすぐにつけられるわけではありません。だからこそ、保護者と園が協力しながら、子どもにとって最適な支援の形を模索していく必要があります。
発達障がいについて疑問に思った方は、こちらもご覧ください。
特に知的な障がいを持たないお子さんの場合は、手厚さのレベル感を1年ごとに見直してほしいです。発達の凸ぽこはありつつも、年齢相応にできることが増えてくるにもかかわらず、先生が一人ついてくれていることで「やって〜、〇〇くんできないの〜」と、本人ができることでも甘えてしまう、先生をいいように使ってしまうというようなケースがあります。
また、加配保育士がいることで、友だちとトラブルになったときに先生を“盾”にしてしまったり、「自分には〇〇先生がついている」と特別視してしまったりするなど、社会性の育ちにブレーキをかけることもあります。
加配保育士自身も「自分の担当している子」という思い入れが強くなることで、つい手を出しすぎてしまったり、トラブル時に加配対象児の肩を持ちがちになったりと、偏りが出てしまうこともあるのです。保育士の世話焼き、優しさが裏目に出る一面ですね…
“手厚さ”と“なんでも代わりにやってあげる”ことは、まったく別。”見守り”の大切さともどかしさを、私自身痛感する日々です。

加配保育士がそばにいることでトラブル時は安心できる一方、本来受けられる刺激が減ってしまうという側面もあります。特に同年齢の友だちと関わる中で、時には喧嘩やトラブルを経験しながら「どうしたらいいか」を学ぶ機会は、子どもの社会性や自己調整力を育むうえでとても大切です。
しかし、加配の先生が常に間に入ってしまうことで、そうした経験が少なくなってしまう場合もあります。結果として、「困ったときは大人がなんとかしてくれる」という依存心や、「自分で考えて動く」力が育ちづらくなる可能性も。
また、先生と一緒にいる時間が長くなることで、友だちとの直接のやり取りや関わりが減ってしまうことも…。子どもにとって一番自然な学びの場は“友だちとのやりとり”。だからこそ、加配のあり方も、その子の成長段階に合わせて見直すことが大切なのです。

保護者の中には、「保育園に迷惑をかけたくない」「友だちに危害が加わらないようにしたい」と、強い責任感や不安から手厚い加配の配置を望む方も少なくありません。
一方、今は加配がついているけど、「来年も必要かな?」「いない時間があっても大丈夫そうかな?」と現状に変化を感じていても、「必要ない」と保護者から伝えるのは難しいですよね。
考えを伝えることで「今お世話になっている〇〇先生への不満と受け取られたらどうしよう」「加配を減らしたいなんて、この恵まれた状況に対して、考えが甘いと思われないかな…」と葛藤する方もいると思います。
でも、上手な切り出し方はあります。
◎園に話すときの例文
家でママだと「やってー」と甘えるのですが、関わりの少ないパパ(または祖父母)のときは少し遠慮するのか、不器用ながらも自分で着替える様子が増えています。
園でも〇〇先生がついてくれていて、△△は〇〇先生が好きなので、甘えてしまってやってもらっちゃうことはないでしょうか?
もしかしたら、来年は加配の先生を少し手薄にしてもらう方が、小学校に向けた成長につながるのかな?と感じたりもしています。
園での様子はいかがでしょうか?園を信頼してお任せしていますので、△△が伸びるためにどうしたらいいか、私の接し方も含めて教えてください。
このように、家庭での具体的な様子と“園に委ねる姿勢”をセットで伝えてもらえると、保育園側としてもとても助かります。
実は、加配保育士の配置やその後の特別支援教育は、保護者の“希望”が大きく影響する面があります。人手不足の中で、必要度よりも希望度が優先されることもあるため、「一日中べったり」より「活動のときだけ」などフレキシブルな対応の方が現実的で保育士の配置もしやすいです。
子どもの発達について疑問を感じた時、”加配”というほど大げさではないけど、小さな不安がずっとあるという場合もありますよね。
保育士は子どもの成長発達のプロ!「加配がついていないから何もしてもらえない」というわけではありません。園では、日々の中で配慮が必要な子に対して、加配の有無にかかわらず見守りやサポートをしています。
保護者の方から「少し気になる」「グレーゾーンかも」と感じていることや、不安に思っていることがあれば、あらかじめ担任に伝えておきましょう。伝えられることで、さりげないフォローや関わり方の工夫をしてもらい、子どもの成長に良い影響がもたらされたり、家での関わり方のアドバイスを先生からもらえたりするケースもあります。
たとえば、活動の導入前に声かけをしたり、少し離れた場所で安心できる環境を作ったりするなど、親御さん発信の相談で、担任の意識もアンテナが高まり、子どもが過ごしやすくなることがあります。
加配がついていない=支援がない、ではなく、「共有しておくこと」自体が大切な支援の第一歩になります。

発達障がい児がいると、どうしても「もっと支援を」「もっと先生を」と“足し算”の発想になりがちです。
でも、時には“引き算”が必要な場面もあります。
子どもが本来持っている力を引き出すために、「やってもらう」から「自分でやってみる」へ。手を掛けすぎず、“見守る勇気”が求められる場面もあるのです。
不安な道のりですが、信頼できる保育園と一緒に、子どもの“今”と“これから”に合った支援のかたちを見つけていきましょう!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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・子どものことで悩んでいる
・我が子の担任の先生には聞きづらいけど、匿名なら聞きたいこと
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体幹を鍛えることは発達障がい児にとって良いとされています。たためてコンパクトになるトランポリン♪
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