保育園を退園・転園することになったとき…子ども以上に親御さんは心配ですよね?

「新しい園になじめるかな?」
「行き渋りになるかもしれない…」
「今の先生とは合わないけど、転園すると我が子には負担かな?」
そんな悩みを抱えたとき、どう判断し、どう準備すれば子どもの負担を減らせるのでしょうか。
本記事では、保育士としての経験をもとに、退園・転園の理由別の特徴や影響、そして前向きに進めるための具体的なポイントをお伝えします。
引っ越しによる通園困難は、退園や転園を考える理由の中でもよくあるケースです。
物理的な距離が増えると、毎日の送り迎えに時間がかかり、子どもの生活リズムにも影響が出ます。
また、保護者の勤務先や勤務形態の変更、家族構成の変化(きょうだいの誕生や同居・別居など)によっても、通いやすい園への転園を選ぶことがあります。
このとき、子どものつぶやきに心が揺れる保護者も少なくありません。
例えば、次のようなケースです。

「○○ちゃんと離れたくない」
「新しい保育園いやだな…○○先生(今の担任)のままがいいな」
このように、子どもが気持ちを伝えてくるケースです。
こんなとき、子どもの気持ちを知り、耳を傾けることは大切ですが、小さな子は環境の全体像を理解して判断するのはまだ難しいものです。
保護者が生活の流れや家庭の事情を踏まえて選んだ園であれば、子どもはやがて慣れていきます。
親の判断で安心して進めて大丈夫です。
事前に新しい園の雰囲気や遊具、給食の内容など”我が子が喜びそうなポイント”を話してあげると、子どもが変化を受け入れやすくなります。

園ごとに教育・保育方針は異なります。とくに私立の園は、それぞれに特色を打ち出しています。
「もっと自由に遊ばせたい」「生活リズムを大事にしたい」「(お昼寝のない園だけど)午睡させてほしい」など、家庭の考え方と園の方針にズレがあると、日々のやり取りで小さな違和感が積み重なることもあります。
また、担任や保育士との相性も大切です。互いに人間同士ですから、“合う・合わない”は当然あります。
ただ、それを超えて強い不信感を抱くような場合――例えば、日常的に嫌味を言われる、人格を否定するような言葉をかけられる、不適切な保育を目にするなど――は、保護者として深く悩むことでしょう。
こうした状況では、保護者の葛藤やストレスが子どもにも伝わりやすく、安心して園生活を送ることが難しくなることがあります。
ただし、必ずしも転園だけが解決策とは限りません。
園長や主任に相談したり、クラス変更、場合によっては、職員の配置転換などで環境が改善される場合もあります。
まずは園内でできる調整を試み、それでも難しい場合に転園を検討する方が、子どもにとっても負担が少なくなります。転園を決断する前に、一度打てる手はないか?考えてみると良いと思います。

発達特性に関する指摘や「加配の申請を」といった提案は、保護者にとって受け止めがたい瞬間になりがちです。悲しさや不安から「園を変えて、新しい環境に行けば治るのでは?」「先生に、毎回発達のことを言われるのが辛い」と考えるのは自然ですが、特性そのものは園を変えても変わりません。むしろ、新しい環境への適応に時間がかかり、ストレスが増えることも少なくありません。
だからこそこのケースの場合、安易な転園は避け、今いる園で支援体制を整えることが子どもにとって負担が少ない選択になりやすいです。加配の申請や個別支援計画の見直し、環境調整・関わり方の工夫など…園と相談し、必要に応じて保健師さんや療育、医療機関とつながる――そのプロセスが、子どもの「今」と「これから」を支えます。詳細は別記事で詳しく書くので、ぜひ読んでみてください。

退園や転園では、仲良くなった友達や慣れ親しんだ先生と離れることになります。
特に小さな子どもは、「別れ」という出来事を理解するのがまだ難しく、

「あの先生に会いたい」
「○○ちゃんとまた遊びたい」
などと言うことがあるかと思います。こうした言葉が出ることは自然であり、寂しさや不安の表れです。
保護者がその気持ちを受け止めつつ、「新しい園にもきっと楽しいことがあるよ」といった前向きな声かけをしてあげることが、子どもの安心につながります。
また、子どもの希望があれば、離れる友だちに手紙を親御さんと一緒に書いたり、保育士から転退園についてお友だちに話してもらうことで、子ども自身の気持ちの整理がしやすくなります。

新しい園では、生活の流れやルール、食事や午睡の時間、遊び方などが変わります。
大人から見れば些細な違いでも、子どもにとっては「全部が新しい環境」です。
慣れるまでには時間がかかり、しばらくは登園しぶりや疲れやすさが見られることもあります。
この適応までの期間を少しでも短くするためには、
- 家庭での生活リズムを崩さずに過ごす
- 新しい園の環境についてわかることを伝えておく
- 保護者自身が新しい園を信頼している姿を見せる
といった工夫が効果的です。
子どもは保護者の態度から安心感を受け取ります。親が前向きな姿勢を持つことで、子どもも新しい園に適応しやすくなります。

退園や転園は、親子にとって大きな環境の変化です。
変化に安心して向かえるよう、事前準備が欠かせません。
- 新しい園を可能なら子どもにも事前に見学させてあげ、雰囲気を知る
- 子どものアンテナに引っかかりそうなことを伝える{例:食べることが好きな子なら「〇〇の好きな唐揚げが給食に出るよ」
- 園での活動や、日々の流れで、元の園と大きく違う所があれば、なるべく先に伝えてあげる{例:「新しい保育園は、今までと違ってたくさんお散歩に行くんだって!」
説明は年齢に合わせ、できるだけ前向きな言葉で伝えます。
「新しい園で楽しいことが待っている」「パパ・ママもポジティブな気持ちでいる」ことがわかると、新しい園でも馴染みやすくなります。

転園や退園を決めたあと、在園中の園にどのように伝えるかは、気持ちよく送り出してもらうために大切なポイントです。
理由が「引っ越し」など伝えやすいものであれば、できるだけ早めに伝えると、園側も引き継ぎや準備がしやすくなります。
逆に、園への不満やトラブルなどが理由である場合は、無理に早く伝える必要はありません。状況に応じて、伝えるタイミングを慎重に見極めてください。
ただ子どもたちの気持ちの整理のために、「何も知らせず」は控えてもらえると有り難いのです。こんな経験があります。
私が以前勤務していた園では、前日まで元気に登園していたお子さんが、次の日から突然来なくなったことがありました。後日、役所から「〇〇ちゃんは△日付で退園になりました」と連絡があり、青天の霹靂でした。保育料や諸費は、その後清算されたものの、その後は保護者とも一切連絡が取れなくなってしまいました。
お友だちも「〇〇ちゃんどうしたの?」「今日お休み?」「〇〇ちゃんと遊びたい」と、ぽつりぽつりと聞くようになり、事情を知らされないままのお別れは、残された子どもたちにとってもモヤモヤの残る出来事になってしまいました。
親御さんの事情や気持ちもあるとは思いますが、できればお友だちや保育士に「ちゃんとお別れをする時間」を用意してあげてほしいと感じています。
また、退園・転園の予定が事前にわかっていれば、先生たちも年齢に応じた「お別れの会」を企画したり、お友だちからメッセージカードをもらう機会を設けたりすることができます。
そういった関わりが、子どもにとっても「ちゃんとお別れできた」という納得感や安心感につながります。
在園中に納得いかないことがあったとしても、退園のときはできるだけ冷静に、淡々と過ごせるといいですね。
というのも──今後、きょうだいがその園に通うことになったり、退園後に何かしらのやり取りが必要になったり、思いがけず先生やお友だちと再会することもあるからです。
あくまで自分と家族のために、関係を良い形で終えておけると、安心につながります。

転園や退園の際に「お友だちや先生に何か渡した方がいいのかな?」と悩まれる保護者の方もいるかもしれません。
結論から言うと、「必ずしも用意しなくて大丈夫」です。
なぜ、用意しなくてもいいの?
・食べ物はアレルギーの心配がある
→また人によっては、手作りがNGだったり、市販でも成分を気にされる場合もあります。
・物をもらうと「お返ししなきゃ」と負担に感じる人もいる
→気持ちは嬉しくても、相手に気を使わせてしまうこともあります。
・園を通して渡すことになるため、保育園の責任のもとで配られる形になる
→ 園としても慎重にならざるを得ないため、断られることもあります。
このような理由から、とくに「お友だちへのお礼の配布」は無理にしなくても良いでしょう。
ただ、保育園に菓子折りなどを1つ持参することについては、園によっては歓迎されることもあります。
その場合も、「ほんの気持ちです」と一言添える程度で充分ですし、強制ではありません。
感謝の気持ちをどう表すかは、ご家庭のスタイルで選んで大丈夫です。
「ぜひ何か担任の先生に贈りたい!」という場合は、こちらの記事も参考にしてください。
保育園の退園・転園には、引っ越しなど家庭の都合や、園との相性の問題など、さまざまな理由があると思います。
どんな理由であっても、保護者としては、できるだけスムーズに、そして我が子に負担なく進めたいと願うものですよね。
この記事では、そのために保護者ができる関わり方や、準備のポイントをお伝えしてきました。
退園や転園は、家族にとっても大きな転機となる出来事です。だからこそ、「子どもが安心して新しい環境に馴染めるように」という視点を持って、落ち着いて準備を進めていけるといいですね。
最後まで記事をここまで読んで頂きありがとうございました。
記事の感想や、「こんなことで悩んでるよ」「こんなこと聞いてみたい」などあれば、コメントやメッセージを気軽にください。
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