お子さんの発達に「もしかして?」と感じた時──
真っ先に「自分の育て方が悪かったのかな」「もっと〇〇してあげれば…」と、自分を責めてしまう親御さんが少なくありません。
でもどうか、知っていてほしいのです。
発達障害や“グレーゾーン”と呼ばれる状態は、脳の働き方や特性に由来するもので、親御さんの愛情や育て方が原因ではありません。
そして、特性は誰もが持っているもの。少し目立ちやすかったり、集団の中でぶつかりやすかったりするだけの話なのです。
私は学生時代、SST(ソーシャルスキルトレーニング)という技法を通じて、発達障害のあるお子さんの社会性を育てる支援の研究をしてきました。
そして現場に出て10年以上、多くの特性を持つ子やそのご家族と出逢い接する中で「児童発達支援士」の資格も取得し、障害児保育に深く関わってきました。
その中で強く感じているのは──
いちばん困っているのは、子ども自身であるということです。
だからこそ、私たち大人は「こういう子(こういう特性)にはこうすればいい」という一括りの対応ではなく、
“その子自身”にとってベストな関わり方を、丁寧に探していくことが何より大切だと考えています。
発達の特性があったって、未来が閉ざされるわけじゃありません。
むしろ、早い段階で適切な理解とサポートがあれば、その子の力をぐんと伸ばせることだってあるんです。
有名人では、俳優トム・クルーズさん、モデルの栗原類さん等が、自ら特性を持っていると公表しています。 ”欠点(苦手)を直すより、長所として生かす”事が大事だと思います。
このブログでは、そんな想いのもと、
保護者の皆さんと一緒に「ちょっと先の明るい未来」を考えていけるような情報をお届けしていきます。

子どもが集団の中でうまくなじめなかったり、園から「少し気になる点があります」と伝えられたり…。
そんな時、親御さんの心にはさまざまな感情が浮かぶかもしれません。
「まさかうちの子が?」
「うちの子は障がい者なの…?」
「私の育て方が悪かったのかな?」
けれども、いちばん困っているのは、他でもないその子自身です。
そして保育士や周囲の大人たちは、その子の「生きやすさ」のために気づきを伝えようとしています。
まずは、発達の特性に気づくきっかけとして多いケースを紹介します。
1歳半・3歳などの定期健診は、専門職が発達のチェックをする貴重な機会です。
言葉の遅れ、目が合いづらい、模倣が苦手などの気になるポイントがあると、
「もう少し様子を見ましょう」「一度、専門機関で見てもらいましょう」と勧められることがあります。
親としてはショックを受けることもありますが、早期に気づいて動き出すことが、我が子への一番のサポートになります。
子どもと一番長く過ごすのは親御さんです。
「目が合いにくい」「何度呼んでも振り向かない」「偏食が極端」「激しい癇癪がある」など、
日常の中で「ちょっと違和感があるな」と感じる場面が重なると、気づきのサインになります。
また複数のきょうだいがいると、比べたときに違和感を感じるケースもよく聞きます。
とはいえ、“気のせいかもしれない”と思うのも自然なことです。
もしなにか気になることがあったらモヤモヤを一人で抱えず、保育士や相談機関に話してみることが、子どもへの援助の第一歩になります。
気のせいならそれはそれで良いですし、それだけ親御さんがお子さんをよく見ている証でもあります。
園では、集団の中で多くの子どもを見ている分、
「この子は、ちょっと関わり方が違うな」といった微細なサインに気づきやすい場面があります。
保育士から「気になる点があります」と伝えられたとき、
否定や反発ではなく、「今の子どもの姿を一緒に見ていくパートナー」というスタンスで受け取っていただけたらと思います。
💬よくある感情:
- 「わが子を否定された」と感じてしまう
- 「どうして今さら言うの?」「先生ずっと気になっていたのかな?」とモヤモヤする
- 「うちの子を障害児扱いするなんて」と怒りを感じる
→でも一番大事なのは、「今の子どもに必要なサポートは何か?」を一緒に探ることです。
どんなきっかけであれ、特性に気づいた時に大切なのは、
家族が一丸となって我が子を支えていくことです。
特に、ご両親の意見が分かれていたり、祖父母との温度差があると、
子どもが混乱したり、親御さんが板挟みになってしまうこともあります。
「気づき」はゴールではなく、スタートです。
子どもの未来を少しでもラクに、楽しくするために、
家庭の中で共通認識として現状を受け止め「どう支えていくか?」を話し合えると素敵ですね。
最後に、きょうだいがいるご家庭では、その子にも配慮を。事情がわかる年齢であれば、かみ砕いて話をしてあげるだけでも安心感につながります。無意識のうちに“のけ者”にしないよう、気持ちを丁寧に受け止めていきたいですね。

発達特性のある子どもがそのまま成長していく中で、周囲との関係や環境のミスマッチから特性を否定され、自己肯定感が下がり続けた結果「二次障害」を引き起こすケースがあります。
二次障害とは?
二次障害とは、発達障害そのものではなく、それに伴う生きづらさや不適応から引き起こされる問題です。たとえば──
- 学童期に友だちと上手くいかず不登校になる
- 思春期に自己否定が強まり、引きこもりや非行、精神疾患に
- 適切な支援や環境でないことで、否定をされて自信を失い、学習意欲が極端に低下する
実際、日本は先進国の中でも若年層の自殺率が高く、発達特性との関連も指摘されています。
幼少期の対応がカギ!
ですが、これは「こうなる運命」ではありません。乳幼児期〜小学校低学年までの早い時期に、周囲の大人が子どもの特性に気づき、適切な対応をしていくことで未来は大きく変わります。こういった支援は早ければ早いほど、効果が高いとされています。
そして、なかでも重要なのが、「自己肯定感」をしっかり育てることです。
特性を持つ子どもには、「認められた」「わかってもらえた!」という成功体験を積み重ねることが、何よりの自己肯定感につながります。
まずは【褒める:叱る=9:1】を意識してみてください。叱りたい場面でも一呼吸おいて、できたことを探して声をかけるようにします。
例)
「友だちとトラブルになり、反射的に叩こうとしたがふと我に返り子ども自身の力でとめた」
→「手を引っ込められたね!気持ちを我慢できてえらかったよ!
脳の特性からすぐに嫌なこと=叩くという行動につながりやすいところを、理性でとめた場面です。ここで「また、〇〇くんは友だちを叩こうとしたでしょ!ママ見たよ!悪い子!」ではなく、子どもの“努力”や“成長の瞬間”を見つけて褒めることが重要です。
ともすれば大人が感情的に叱ってしまいそうな場面ですが、ここで例え棒読みでも良いので褒めてあげ、その対応を繰り返し積み上げることで、子どもは自己肯定感を高め、二次障害のリスクをぐっと下げてくれます。
場合によっては、自治体や民間の療育機関や専門家のサポートを利用することも大切です。
- 発達支援センターでの相談
- 通所の療育施設
- 保育園や幼稚園での加配支援
「プロの手を借りること」は悪いことではありません。子どもがより良い環境で育っていけるよう、先回りしてサポートを整える親の勇気ある行動です。

子育てはどんなお子さんにとっても長い道のり。そして、発達特性がある子どもへの対応は、成果がすぐに見えづらく、根気のいることが多いのも事実です。
毎日完璧でなくて大丈夫。まずはお子さんの“今”を正しく理解し、その子に合った関わりを積み重ねていくことで、きっと未来に光が見えてきます。
この記事を書くかどうか、実はとても悩みました。でも現場でたくさんの子どもたちやご家族と関わる中で、「親御さんの理解と適切な対応が、子どもの成長に確かにつながる」ことを何度も感じてきました。
悩んでいる方が、少しでも気持ちがラクになり、子どもの未来に目を向けられるきっかけになりますように。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました☺︎
保育園での支援体制について気になる方は、「加配保育士は必要なのか?」という視点でまとめた記事もあわせてどうぞ⬇️
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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・子どものことで悩んでいる
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