子どもが生まれると、「こんなふうに育ってほしいな」「あんな経験をさせてあげたい」と、親としての願いや理想が生まれますよね。
最初は我が子だけを見ていたいと思いながらも、育児をしていく中で、どうしても周りの子と比べてしまう瞬間があるのも事実です。
友達の子はもう〇〇ができる、きょうだいはこうだったのに……そんなふうに比べてしまう自分に、ちょっと落ち込むことも。
だけど、子どもはひとりひとり違っていい。比べるなら「少し前の我が子!」きっとそこには子どもなりの成長が見えてきます。
「比べない子育て」には、親子がもっと楽になるヒントがたくさんあるんです。

金子みすゞさんの詩『私と小鳥と鈴と』には、
「みんな違って みんないい」
という、今も多くの人の心に残る言葉があります。
私はこのフレーズが本当に大好きです。
子どもたちと向き合っていると、本当に「一人として同じ子はいない」と感じます。
どの子にも“キラッと光る”、その子だけの個性や魅力があるのです。
あるとき、私が担当していたクラスの保護者の方が、
「弟のほうばかり可愛く感じてしまって、お姉ちゃんである女の子にはどうしても強い言い方をしてしまう…ライバルのように感じてしまうんです」
と、ぽつりと話してくれたことがありました。
お母さんはとても苦しそうでした。
そんな自分を責めてしまって、お姉ちゃんにも申し訳なさを抱えていたのだと思います。
でも、きょうだいであっても、その子はその子。
下の子に感じる「可愛さ」も、上の子に感じる「戸惑い」も、どちらも本当の気持ちなんですよね。
無理に平等にしようとするよりも、まずは“感じている気持ち”を認めることが、スタートなのかなと私は感じました。
比べるなら、お友だちでもきょうだいでもなく、少し前のその子自身と比べてみてほしいのです。
「昨日よりちょっとできたね」「前より少し気づけたね――」
そんな小さな「できた」を認められることが、子どもの心を大きく育てていきます。
「みんな違って、みんないい」。
この詩のように、その子の今を、ありのまま丸ごと受け止めることが、
実は子育てを少しだけラクに、そして温かいものにしてくれるのかもしれません。

どんな子どもも、根っこのところでは「親が大好き」です。
たとえ反抗していても、素直に言えなくても、心の奥では「見ててほしい」「認めてほしい」と思っています。
でも、育児に忙しく追われる毎日の中で、つい叱ることばかり増えてしまう…そんなこともありますよね。
「ちゃんと褒めたいとは思ってるけど、どう褒めたらいいかわからない」
「照れくさくて、なかなか言葉にできない」――そんな声もよく耳にします。
最初は、棒読みでもたどたどしくても大丈夫。
ちょっと意識して、「すごいね」「がんばったね」と声にしてみるだけで、子どもの心はふっと軽くなることがあります。
完璧な言葉じゃなくていい。
むしろ親がちょっと不器用でも、「言葉にしてくれた」という事実が、子どもの心にしっかり届くんです。

赤ちゃんって、なんであんなに可愛いのでしょうか?
小さな手足、寝顔も泣き顔も、仕草の一つ一つもみんなかわいい。
それは、たくさんの人に「可愛いね」と愛されるために、あの見た目で生まれてきているのです。
「可愛いね」「大事だよ」「あなたがいてくれて嬉しい」
そうやって言葉や表情、ふれあいで伝えられて、赤ちゃんは愛されることを学びながら育っていきます。
でも、その「愛されたい気持ち」は、大きくなっても消えるわけじゃありません。
小学生になっても、中学生になっても、そして大人になっても――
大切にされている実感は、その人の心の土台になります。
だから、「可愛いね」「大事だよ」と伝えることは、いつまでも大切。
照れくさくても、忙しくても、ちょっとだけ立ち止まって伝えてみてください。
そのひと言が、子どもの自己肯定感をぐっと育ててくれるはずです。

最後にこの話にも触れておきます。保育士としてこれまで、発達障害やグレーゾーンといわれる子どもたちと多く出会ってきました。
特性のある子どもたちは、感覚がとても敏感であったり、環境のちょっとした変化にも影響を受けやすかったりします。
また、日常的に注意されることが多く、「今日も怒られた」「自分はダメなんだ」という気持ちを積み重ねやすい傾向があります。
その結果、幼い時期から、自己肯定感が著しく低くなってしまうことも少なくありません。
あるとき、私が担当したお子さんは、知的障がいなど複合的な特性を持っていました。
そのお母さんは送迎のたびに、周りの子どもたちを見ては「〇〇ちゃんはすごいね」「あの子はもうこんなことできるんだ」と、無意識のうちに“他の子”を褒めていました。
お子さんは、ママのことが本当に大好きでした。
だからこそ、隣で聞いているその表情はとてもつらそうで、時には「もう〇〇はママ大っキラーイ!」と、強い言葉で気を引こうとする姿も見られました。
その姿に、保育士としても胸が痛む思いでした。
特性のあるお子さんほど、「自分は認められている」「愛されている」という実感が、健やかな育ちの土台になります。 だからこそ、良い行動はしっかり褒める。 困った行動には、短く・シンプルに伝える。 そして、何よりも「ありのままを受け入れてくれる人がいる」という安心感を、家庭でも保育の場でも届けていくことが大切だと強く感じています。
一人ひとりの子どもが、その子らしく育つために。
保護者の方にも、「比べない」「責めない」「受け止める」という視点が、少しでも伝わっていけば…と願っています。
発達グレーゾーンなどについて詳しく知りたい方は、こちらも見て下さい⬇️
子育ては、つい焦ったり、比べたりしてしまうもの。
でも、その子のペースで歩いていることを、信じて見守っていけたら――
きっと子どもは、自分らしく育っていけます。
今日もがんばっているパパ・ママへ。
大丈夫、そのままで、ちゃんと届いていますよ🍀
ここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事の感想はもちろん、
・子どものことで悩んでいる
・我が子の担任の先生には聞きづらいけど、匿名なら聞きたいこと
などありましたら、コメントやお問い合わせメッセージを遠慮なくお寄せ下さい♪
経験10年超の保育士みらいがお答えさせていただきます❤
疲れた時、まったりしたい時至福の一杯をお手軽に♪ 私も愛用中のバリスタ