保育士が見た“慣らし保育”のリアル|泣き声と奮闘の毎日、保護者へのお願いも

4月…この季節になると、ある意味「季節の風物詩!?」というような、例年の光景が広がる保育園。
それは、「慣らし保育」の光景です。
園の中には、保護者の目には映らない慣らし保育における“裏側の風景”があります。
今回はそのリアルな様子と、保護者の方に知っていただきたいことをお伝えします。

慣らし保育のリアルな風景

「ママがいい〜!」「食べな〜〜〜い!」「やだやだ〜〜〜〜〜」

お子さんにもよりますが、この世の終わりのような泣き方で泣いていたり、ずっと騒いでいたり…

 「〇〇ちゃんおやつ食べる?」「いらな〜〜〜〜〜〜い。ママがいい〜〜〜〜〜。ママ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」▶︎▶︎気になるおもちゃを見つけて遊び出す▶︎▶︎ドアが開いて他の保育士が来た!チラッ…「あ、ママじゃなかった!」▶▶「うわ〜〜〜〜〜ん!ママがいい!!ママ〜〜〜〜」▶︎▶︎エンドレス▶︎▶︎だんだん疲れて眠くなる

「デジャヴ」を感じる光景です 笑

ちなみに、新入園の子の泣き叫ぶ横で、元からいる在園児は驚きつつ淡々と遊びます。

肌感覚ですが、1歳の誕生日前に入園したお子さんは、「ここはどこ?」という感じで、意外とあっさりなじむケースも多いです。
一方で、1歳を過ぎていて、これまで集団生活の経験がないお子さんは、泣く子が多いかもしれません。

ただ、このままずっと毎日泣いている子はほとんどいないです。子どもは逞しく、ペースの差こそあれ必ず馴染んでいきます♪

ありがたい保護者

この時期はまだ、子どもの名前と顔、そして保護者の方や持ち物がなかなか一致せず、心苦しく感じる場面もあります。
そんな中で、「これ、本当にありがたい…!」と感じる保護者の対応をご紹介します。

名前を名乗ってくれる

「りすぐみ(仮)の山田太郎の母です」と迎えの時に名乗ってくださる保護者の方、本当にありがたい存在です…!
私たち保育士にとっては“神対応”といっても過言ではありません。

新年度のこの時期は、保護者の顔・子どもの名前・荷物の持ち主など、まだすべてが一致しない状態。
何度も「どの子のお母さんでしたっけ?」と聞くのは心苦しく、聞かれた側も「覚えてもらえていないのかな…」と寂しい思いをさせてしまうかもしれません。

現場ではよく、
「今玄関にいるママ、誰の保護者かわかる?」
「うーん…朝△△くんを抱っこしてたママかな?あのストライプの服、着ていたような…」
と、ちょっとした“謎解き”状態になっていることもあります。

だからこそ、保護者から名乗っていただけると、「ありがとう」という気持ちでいっぱいです。

持ち物への記名は”見やすい場所”に

新学期は、まだ保育士も子どもの顔と名前、持ち物が完全には一致していない時期です。
そんな中、持ち物に“見やすく記名”していただけることが、本当にありがたい…!と感じています。

記名がわかりやすい場所にあるだけで、荷物の仕分けや確認がスムーズになり、ミス防止にもつながります。

📌具体的なおすすめの記名場所はこちら

  • 水筒・哺乳瓶・マグ → 側面に大きめの名前
  • オムツ → テープのついている側(反対側に書くと、巻いた時に見えないので)
  • 洋服 → タグか首元か裾部分にフルネーム記名
  • リュック・かばん → 外側に見えるように(直書きが抵抗ある方はタグやキーホルダーの活用も◎)
  • 登園時に履いてくる服や靴 → かかとに書いてもらえるのが◎

持ち物の取り違えは信頼関係にも関わりますし、持ち物が帰ってこなかったお家と、2セット来てしまったお家、どちらにもご迷惑になるので避けたいところ…。
ちょっとした記名の工夫で、現場はとても助かります☺︎
ご協力いただけると、本当にありがたいです!

登園時はサッと離れるのがポイント|切り替えやすさと保育のスムーズさのために

登園時、お子さんの様子が気になってつい長く付き添いたくなる気持ち、とてもよくわかります。
でも実は、保護者の方がそばにいる時間が長くなるほど、子どもは「お家に帰れるかも?」と期待してしまい、気持ちの切り替えが難しくなることがあるんです。

ご家庭からの連絡事項を伝えていただいたあとは、「行っておいで!」とサッと離れていただけると、子どもの切り替えがスムーズにいくことが多いです。
あとは、私たち保育士がしっかりお預かりしますので、安心してお任せください。

気になることは遠慮なくご相談ください|モヤモヤを残さないために

保育園生活では、不安なことや気になることがたくさん出てくると思います。
そのままモヤモヤを抱えたままにするのは、保護者にとっても保育士にとっても良いことではありません。

疑問や不安は、遠慮なく伝えてください。
いただいたご意見は、園で共有し、必要であれば入園のしおりや説明の仕方を見直すなど、来年度以降にも生かしていきます。
保護者の声が、園をより良くしていくヒントになります。

慣らし保育でよくあるお悩みと保育園の対応とは?

慣らし保育の短縮はできるの?

慣らし保育のスケジュールについては、入園前の時点で全家庭に共通の方針をお伝えしている園がほとんどです。そのため、特定のご家庭だけ短縮するというのは難しいのが現状です。

お仕事の調整が大変なこと、私自身もワーママのためとても良く分かります。それでも、慣らし保育は子ども自身が新しい環境に安心して馴染んでいくための大切な時間です。ご理解とご協力をお願いできたらと思います。

ミルクや水分を飲めない場合は?

特に乳児クラスでは、「哺乳瓶を嫌がる」「母乳以外は受け付けない」「泣いてしまい、コップなどで水分をとらない」といったケースが見られます。ですが、その状態で長時間のお預かりをすることは、体調管理の面でも非常にリスクが高く、安全面に深く関わってきます。

1歳未満のお子さんを園に預ける予定がある場合は、ご家庭以外の環境でも水分や食事がとれるように、少しずつ慣らしておくことがとても大切です。育休期間の間に、そうした準備を意識していただけると、入園後の慣らし保育もスムーズになりやすいです。

慣らし保育中の連絡ノート、書けない日もある理由とは?

慣らし保育の期間中は、何よりもお子さんが安心して過ごせること、安全に過ごせることに重点を置いています。初めての環境で泣いたり不安になったりする子どもたちの保育に、職員は手いっぱいになることも多くあります。

「今日はどんな様子だったのかな?」「何をしていたんだろう?」と気になるお気持ちはよくわかりますが、連絡ノートを書く時間が確保できないことも少なくありません。口頭での報告は行うようにしていますので、慣らし保育の間だけはノートの記入がない日があっても、ご理解いただけると助かります。

アレルギーや既往歴は必ず伝えてください。園と共有することが命を守ります

アレルギーや持病、健診で指摘されたことなど、園に伝えるべき情報を隠したり後回しにしたりすることは絶対に避けてください。保育園はお子さんの情報をもとに、安全に配慮した保育を行っています。

情報がないことで必要な職員配置や、職員間での伝達ができず、最悪の場合は命に関わるリスクもあります。保育園は決して“敵”ではありません。一緒にお子さんを育てていく大切なパートナーです。どうか遠慮せず、必要な情報を共有してください。

体調が悪いときは無理せずお休みを。慣らし保育は休んでも大丈夫です

慣らし保育が始まると、お子さんが体調を崩すことは珍しくありません。「せっかく入園したのに、半月しか通えなかった…」「保育料のほうが給料より高くついた…」という話も実際によくありますね。

早く慣れてほしい、保育園のペースに乗ってほしいというお気持ちはとてもよくわかりますが、無理に登園させることはかえって回復を遅らせたり、集団生活の中で他のお子さんに感染させてしまうこともあります。お子さんの体調を最優先に、休む時はしっかり休むことが結果的にスムーズな慣らし保育につながります。

お迎え時間は±10分以内で。早すぎるのも困ることがあります

お次は心配性な方や、子ども大好きな方によくある話♪ 「我が子はずっと泣いてるのでは?」「早く我が子に会いたい!」そんな気持ちから、20分以上早くお迎えに来てくださる保護者も…!

慣らし保育中は特に、お迎えの時間を目安に一日の流れや活動を調整しています。そのため、予定より20分以上早く来てしまったり、逆に遅れてしまったりすると、現場が混乱することがあります。

お迎えが来る時間を見越して保育の区切りをつけているため、早すぎる到着は避け、±10分以内の前後を目安に、来ていただけると助かります。

慣らし保育中、家庭ではどう過ごせばいい?保育士からのアドバイス

帰宅後は“回復”の時間。生活リズムを整える意識を

慣らし保育中のお子さんは、慣れない環境で心身ともにエネルギーを使い切って帰ってきます。家ではなるべく刺激を減らし、安心できる環境を用意してあげてください。

可能であれば、昼寝や短い休憩を取り、体力を回復させてあげてください。もちろん、昼寝をしない子は無理に寝かせなくて大丈夫です。

また仕事復帰前のご家庭では、つい生活リズムが遅くなりがちですが、登園時間等も仕事復帰後の生活に近いペースで整えておくことが、本人にとっても負担が少なく、慣れやすくなります。

家庭では無理に園の話を聞き出さなくて大丈夫

「今日は何をしたの?」「泣かなかった?」と聞きたくなる気持ちはとてもよくわかります。でも、園のことを無理に聞かなくても大丈夫。

子どもは大人と同じで、外であったことを話したい子もいれば、話したくない子もいます。家庭は“安心の基地”として、変わらぬ愛情と安定した空間を提供してあげてください。

自然と心が落ち着いてきたとき、子どもの方からぽつりと話してくれることがあります。そのときはぜひ、優しく耳を傾けてあげてください。

週末は無理をせず、静かな時間を大切に

週末こそ、子どもにとっては心身を休める大切な時間です。特に入園直後の1~2週間は、園生活に適応するための“調整期間”。遠出や旅行、長時間の外出はなるべく避け、ゆったりと過ごすようにしましょう

もちろん、買い物や短時間の外出は問題ありません。ただ「予定を詰め込まない」ことが大切です。

園での生活に慣れるには体力も免疫力も必要です。週末をしっかり休息の時間にすることで、月曜からの登園がスムーズになりやすくなります。

おわりに

4月の保育園は、先生にとっても子どもたちにとっても大きな節目。
「ママ〜〜」「やだやだ〜」の大合唱が続く毎日ですが、それでも子どもたちは少しずつ、確実に前に進んでいます。

保護者の皆さんも不安や心配が多いかと思いますが、どうかおおらかな気持ちで子どもに寄り添いながら見守ってください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

この記事の感想はもちろん、

・子どものことで悩んでいる

・我が子の担任の先生には聞きづらいけど、匿名なら聞きたいこと

などありましたら、コメントやお問い合わせメッセージを遠慮なくお寄せ下さい♪

経験10年超の保育士みらいがお答えさせていただきます❤

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